双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
『なにがあっても離さない 優星SIDE』
 那覇発羽田行きの便に搭乗し、ホッと胸を撫で下ろした。

「お疲れさまでした、専務」

 そう言って俺の隣に座ったのは、秘書を務めてくれている永山(ながやま)大和(やまと)だ。歳はふたつ下にも関わらず仕事ができる。日本に戻ってきてからの付き合いだが、とても頼りになる存在だ。

「永山のおかげだよ、こうして一日早く帰れるのは。悪かったな、無理にスケジュール調整を頼んで。大変だっただろ?」

「専務の秘書に就いてから無理難題をさんざん押し付けられてきましたので、こんな事朝飯前です」

「そ、そうか」

 仕事もできるし、度胸もある。まぁ、それも当然か。永山は父の知り合いの息子で、うちの会社と取り引きのあるリゾートホテルの御曹司だ。

 なんでも土地を開拓するところから勉強したいらしく、二年間限定でうちの会社に勤めることになった。

「しかし急なご帰宅となったため、エコノミークラスしか取れず、申し訳ございませんでした」

「構わないよ、一分でも早く帰りたかったから席が取れただけでもありがたい」

 日本に戻ってきてからというもの、余計な仕事を増やさないようにどんな案件にも、細心の注意を払っていた。
< 189 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop