13番目の恋人
お店に入って思ったのは、やはり大宮くんが迎えに来てくれてよかった、ということ。

先に到着していた数人の女子はすでにかたまっていて、楽しそうに談笑している。とてもじゃないけれど名前と顔が一致しない私は、そこに入ってはいけなかっただろう。

「おつかれ様でーす、今日は香坂さんも来たよ」
そう言いながら、大宮くんは自然にその女子の前にストンと座り、その横に私が座るスペースを開けてくれた。

彼女達は、談笑を止めて、私の方へと顔を向けた。

……緊張する。
「お、お疲れ様です」
恐々と挨拶すると

「わ、お疲れ様! 香坂さん飲み会来たりするんだね」
「緊張しちゃう~」
なんて言いながらも、好意的に受け入れてくれた。

「一度話してみたかったの」
そう言ってくれた時は、嬉しくて、ここへ連れてきてくれた大宮くんに感謝の意味で、彼を見上げて笑う。大宮くんも、自然に笑い返してくれた。

大宮くんは誰とでも仲がいい様子だった。凄いなあと思いながら、誰かと話す大宮くんを見ていた。

さっき一緒に歩いていた時にも思ったけれど、バランスの取れた体型に人懐こい笑顔、私の心境も察してくれたし。何というか、この人にはあっという間に心を許してしまう。おそらく、みんながそうだろう。

まずは、女子からって言ってくれた意味も、後々わかった。ほぼ初対面の女子の前で、先に男性社員の元へと行ってたら、印象が良くないのだと教えてくれた。ちょっとしたことだけど、って彼は言った。
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