魔女は今日も、忙しく恋する！

「泣くことないわ。私が悪いのよ…あんたを傷つけたんだから…」

　魔女は自分も泣きそうのを堪えてさらに強く抱き締めた。

「あれを、聞いていたのね…？彼と話してたことを…。あんた、彼に会いに行っていた私を、こっそり何度か見ていたんでしょう？だからこんなに、そっくりに化けて…」

「ろ、ろーぜ…」

「…ごめんなさい…私のためにあんなに傷だらけに…。匂いを消すためにバラの中に入っていったから、トゲでケガをしたのね…？」

「ゴメンナサイ、ろーぜ…！！」

　彼はコウモリの姿に戻り、大きな声で泣き始めた。

「コウモリ…そんなに大声で泣かないのっ…部屋の物が割れてしまうわ…。私はね、あんたを抱き締めるの、好きなのよ…魔力の為だけじゃなくて…どっちの姿だって…好き……声もね…匂いだって、慣れてるくらいだもの、落ち着くのよ…。すぐに素直に言わなかった私がいけないの…あなたはこんなに思ってくれてたのにね…」

「ゴメンナサイ…！俺、ろーぜニ、闇ノチカラ、アゲラレテナイ…ろーぜノ魔力、不安定ナノニ…何モシナカッタ…」

「え…？」

「…死ニカケテイル時、ろーぜガ優シク治シテクレタカラ、俺、願ッタ。ろーぜガ魔力困ッテイタラ、俺ノ使エル闇ノチカラ、ろーぜノ魔力ニ、ッテ。」

「あんた、今までそんなこと一度も…！なんで私のためになんか無理するのよ！！」

「ろーぜ、優シイ…俺、ろーぜノチカラニナリタイ…」

「…なんで私、気づかなかったの…？あんたがこんなに…ありがとう…コウモリ！」