娘は獣の腕の中
それから魔女は毎夜やってきて、自分の小さな城の話や自分の事を男に話していった。
しかし、一向に自分に興味を持たない男の様子を見て、魔女は痺れを切らした。

「ねえあなた、私は好き?」

「何度も言うが、俺は興味ないんだ。悪いが…」

魔女の目が光る。

「…あなた、好きな相手がいるのね?誰なの??」

「それ…は……」

冷たい視線に背筋が凍りそうになる。直感だった、嫌な予感がした。
知られてはいけない…どんな目に合わされるか…

「言わないつもり…?いいわよ?私を選ばないならその相手もあなたも苦しめてやるから。」

魔女は高々と笑った後、煌々と赤く光る瞳で男を睨みつけた。
その瞬間、

「…ティ…ア……」

男の脳裏には愛する娘の顔が浮かび、思わず名を呟いてしまった。

「…そう、それがあなたの……。あなたが私に振り向かないのなら、あなたとその子を苦しめてあげる。その子がいなければ生きていけないようにしてあげるわ。そうね……」

突如、男は黒い霧に包まれ、それが晴れると獣の姿に変わっていた。

「……!!?」

「人間の姿もいいけど、その姿も似合うものね!さすが私だわ!さっき言った子と交わらなければ、あなたは空腹が満たされることはないわ。」

「交わる!?」

「あら、人間だってするでしょう?魔女は魔力のために、魔物や悪魔と交わる事もあるのよ。」

「まさか……!!あ、アイツは関係ない!ティアは関係ないんだ…!!」

「どうかしら?どうにしろ、あなたを苦しめなきゃ私、気が済まないの。あなたの心に残るその子もね。でも、普通に苦しめたってつまらないもの、楽しめなくちゃ。私を選ばなかったあなたが悪いのよ?解きたければ私を愛するようにすることね。」

魔女はまた高々と笑ってフワリと宙に浮いた。

「あなたは言えるかしら?その子に、餌代わりにこの姿の自分に身体を差出せ、なんて…。言えないわよね?」

「頼む…!!待ってくれ!!」

「あらあら、早く抱かないと、空腹で倒れてしまうわよ?たまに来るわね。私に振り向くよう、待ってるわ。」

魔女は闇に消えた。
< 11 / 18 >

この作品をシェア

pagetop