君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
結婚式の当日に約束を破棄される女なんて、どんな男性が聞いたって嫌なはずだ。
久世先生のような肩書きも容姿も完璧な人が関わるような女じゃない。
「今思えば、初めて会ったときに惹かれたんだと思う。真摯に仕事に向き合う姿に好感を持ったし、子どもたちに向ける優しい眼差しに惹かれた」
久世先生から出てきた言葉の数々に瞬きを忘れる。
顔を上げたまま固まる私を目にし、久世先生はふっと吐息混じりに笑った。
「自分にはないものを持っているなって、惹きつけられた。だから前も、思わず食事に付き合ってとか誘ったりして。あの日の帰りだって、また会えないかなって聞きそうになったのを我慢したくらいで」
自嘲気味に笑い「さすがに引かれるかと思って」なんて言う。
「だから、落合先生に今日の話を提案されたとき、まったく迷わなかった。むしろ、こんなチャンスがくるとはって思ったくらいだったから」
今聞こえている話は、自分の都合のいいように聞こえているのかもしれない。
そんなことを真面目に考えてしまうくらい信じられない。
でも、私を真っすぐに見つめる久世先生の目は冗談には見えない。