君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「舞花先生、怖いよ、怖い!」
自分の背後で交わされる会話を聞いていたせいか、みみちゃんが突然声を上げて怖がり始める。
「ホッチキス使うの? 痛いよ! 怖いよー!」
「みみちゃん、大丈夫だよ。先生がぎゅっとしてるから」
「やだやだやだ! 怖い!」
とうとう看護師に押さえられている頭を振って嫌がり始めてしまい、処置をしようとしていた先生の手が止まる。
私は咄嗟にエプロンのポケットに手を突っ込んだ。
「みみちゃん! かわちゃんとの約束、忘れちゃった?」
忍ばせていたかわちゃんを取り出し、少し前に待合いでやっていたように声を変えてみみちゃんに話しかける。
さっき『ついてきてくれるの?』とみみちゃんに訊かれて返事をしたことを思い出したのだ。
「かわちゃん……忘れてないけど、でも、やっぱり怖いもん」
「じゃあ、かわちゃんもやってもらうよ、ホッチキスでパチン!」
中腰から顔を上げて久世先生を見上げると、ぎょっとしたような顔で私を見下ろしている。
いきなり声を変えてパペットを演じ始めたからだろう。
でも、そんなことを気にしている場合でもなく、すくっと立ち上がる。