君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 自宅までもう少しという近くの公園で、近道をしようと公園内を通り抜けていたとき、背後から突然羽交い絞めにされた。

 すっかり暗くなった公園に人けはなく、ひとりで歩いていた私は狙いやすかったのだろう。

 茂みに連れ込まれ、雑草の生い茂る地面に押し倒された。

 突然自分の身に降りかかった予期せぬ悪夢に、頭の中は真っ白だった。

 ただ怖くて、怖くて──。

 制服のシャツのボタンが弾け飛び、スカートに入ってきた手にショーツを引き下ろされ、咄嗟に悲鳴を上げていた。

 たまたまそばを犬の散歩で歩いてきた年配のご夫婦に見つけてもらい、私は運よく助かった。

 一歩間違えれば、未遂では済まなかったと思える状況だった。

 その後、逃げた男も捕まったと聞かされたけれど、まだ子どもだった私に植え付けられた恐怖の記憶は癒されることはなかった。

 ただ残ったのは、男性が怖いという心の傷だけ。

 それからの私は、意識して男性を避けるような人生を送ってきている。

 今の仕事についたのも、子どもが好きなことは前提にあったものの、男性と関わることが比較的に少ないと思ったからだ。

 実際、男性職員のいない職場を選んだのも事実。

 あの出来事からもうすぐ十年が経過しようとしているけれど、負った傷はまだ私を苦しめ続けている。

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