君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
エレベーターの近くで病院内の案内図を眺めていたとき、バッグの中でスマートフォンが震え始めた。
手を突っ込み取り出すと、そこには智志くんの名前が。
通話していい場所を求めて周囲を見回し、向こうに電話のマークを見つけて小走りする。
「もしもし」
『お、やっと出た』
「ごめんなさい。ちょっと仕事後に病院に来てて、出る場所が」
外来から少し離れた奥に進むと、公衆電話や自動販売機が並ぶスペースがあった。
そこで足を止め、通話に応じる。
更に通路を進んだ奥からは何かの部屋があるらしく、子どもたちの賑やかな声が聞こえていた。
『そっか。あのさ、今晩の約束だけど、ちょっと取引先との付き合いで遅くなりそうなんだ。だから、また日を改めて約束し直したいんだけど』
「そうなんですか。わかりました」
『じゃ、また連絡する』
要件だけを伝えると、通話はすぐに終了する。
まだ仕事中のようだし、私も病院にいると言ったからだろう。
男性恐怖症になってしまった私が、生まれて初めてお付き合いをした人──それが、大村智志くんだ。