君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
お手洗いに寄ってからエスカレーターで二階へと上がり、指定された二階の出入り口へと向かう。
初めて来たときにみみちゃんを連れて車に向かった、駐車場利用者専用出入り口だ。
まだ久世先生の姿はなく、その間に母に一報を入れておこうとスマートフォンをバッグの中から取り出す。
母とのトークルームを開き、簡単に久世先生と食事に行くことになったと送信した。
もしかしたら、この展開まで母もわかっているのかもしれない。なんて思いながら……。
スマートフォンの画面に目を落としていたところ、目の前の車寄せに駐車場方面から車が近づいてくる。
顔を上げると停車した黒色の車には久世先生の姿があり、慌ててスマートフォンをバッグに突っ込んだ。
お医者様ともなるといい車を所有しているんだなと感心してしまう。
普段走っているのは見かける海外の高級車だけど、乗ったことなんて一度もない。
「お待たせ」
突っ立ったまま綺麗な車のボディに見入っていると、久世先生が車から降りてくる。チャコールグレーのスーツの姿に視線を奪われた。
白衣を脱いでスーツの姿になるとまた別人のようで、その洗練された容姿にひとりでに鼓動が高鳴っていく。
「あ、はい。よろしくお願いします」
よろしくお願いしますも変かと思ったとき、案の定久世先生がフッと笑う。
早速やってしまったと思った途端に顔に熱が集まって、赤面が恥ずかしくて俯いた。