魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)

小高い丘 22-25ページ

<小高い丘・13時30分>


昼食の時もイ―ディス先生とグリセラはいなかった。

リードとクリスは予定通り、生徒たちを連れて遠乗りに出発した。

馬に揺られながら、リードは考えていた。
グリセラを家で引き取れないだろうか・・
あんな扱いをされるなんて
ひどすぎる・・
帰ったらすぐに父上に相談してみよう。

音がしないが、魔女の国の国境の山並みに稲妻が走った。

そして、小さな氷のかけら・・
ひょうが降り始めた。

リードとクリスは馬から降りた。

空の向こう、
大きな積乱雲が黒く変化して、かなとこ雲をつくっている。
「空がおかしい・風が強くなってきている」
リードは眉をひそめた。

稲妻が光った。
このまま、先に進むのは危険だ。
馬が暴走するかもしれない。
何かの異変・・の予兆だ。

「戻ろう・・無理すると危険だ」
リードはそう言い、馬の向きを変えた。
「誰かいるっ!!」
クリスが叫んだ。

先の小高い丘の上に小さな影・・・風に立ち向かうように立っている。
黒い髪がなびいている。

「グリセラ?・・何やっているんだ・・あんな所で?」
「リード、早くしないと・・
戻ろう!」
クリスが叫んだ。
また、稲妻が光る。
馬が怖がっている。

「あれはグリセラだっ!
連れ戻さないと!」
リードは嫌がる馬の向きを変えた。

「クリス、皆を連れて先に戻れ!
僕はグリセラを連れて戻る!」
「わかった、先に戻る!危険なら
すぐに避難しろよっ!」

強風が吹き、風の音で声が切れ切れになってしまう。
クリスと生徒達は館に戻るため、
馬を走らせた。

リードは丘にむけて馬を走らせた。
強風で思うように馬が進まない。

それだけでなく、
丘のそばで馬が立ち上がり、
リードは振り落とされてしまった。
それでも、何とか丘の上まで
登りつくことができた。


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