ねえ、気づいてよ……
〜涼音side〜


「うう......」


なんだろう、近くで何かが動いてる気がする。


「涼音」


優しい声が聞こえてきて、目を開ける。


「れいっ!」


「涼音、無事でよかった」


「ごめんなさい、私っ」


何がというように私を見る怜を見て、安心と申し訳なさで涙があふれる。


「私のせいで......。私が、飛び出さなかったら」


「涼音、それ以上言うな」


言い方は優しいのに、怒ってる気がした。


「涼音が飛び出してったから、俺も飛び出してったんだ。涼音がいなかったら、あの子を助けたか分からない。
それに、涼音になんかあったら、俺、一生後悔する」


優しい言葉に、涙が止まらない。


「怜......。ありがとう」


「ああ。それに、俺を起こしてくれたのは小さい涼音だったしな」
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