婚約破棄をして乗り換えた元彼と妹と私の幸せ【現代、短編】
「……私を一生守ってくれる、私とずっと一緒にいてくれるのね?」
「柚芽……」
「嘘じゃないよね?もし、嘘だったら……」
「嘘じゃないよ。好きだよ。ずっと一緒にいよう」
「嬉しい。私、あなたがいなかったら、死んじゃうよからね。約束だよ。いなくならないでね」

☆姉★
「あ、柚芽」
 最近出会った人と、出かけている最中に柚芽と鉢合わせしてしまった。
 ……私は、これが嫌いだ。
 柚芽は、すぐに私と一緒にいる男性に興味を持つ。
 そして、常識的にはあり得ない距離感で話かけたり、ボディタッチをするのだ。
 かわいい容姿の柚芽に勘違いする男性の姿を見ては、ああ、この人とも付き合えないなと。
 何度淡く芽生えた恋心を諦めただろうか。
 最近では会わせないようにしている。
 だけど、婚約破棄事件……あれは本当の婚約ではなかったかれど、本当に婚約した相手とその後に柚芽が絡んでごたごたするよりは……。
 早めに男の人の本性が分かっていいのかもしれない。
「君に似たかわいいこの子は誰?(英語)」
「妹の柚芽です(英語)」
 目の前に立つ柚芽が首を傾げた。
「ねぇ、お姉ちゃん、なんて言ったの?」
 ああそうだ。英語、苦手なんだっけ柚芽。
「かわいいこの子は誰って聞かれたの。だから妹だって答えたのよ」
 私の言葉に、柚芽がニコリと嬉しそうに笑って、エリックの手を取った。
 早いわ。ボディタッチ。
「かわいいなんて、うれしいです。あの、私、柚芽です。お姉ちゃんがいつもお世話になっています」
 エリック……30歳のアメリカ人。日本語は全然分からない彼が、柚芽をハグした。
「ボクハエリックデース、ナイスチューミーチュー」
 あ。
 そうか。
 ボディタッチ……。あっちの国のが上手だっけ。
 全く動じるどころか、ハグされた柚芽の方が目を白黒させている。
 あっさりと、ハグを終えたエリックが私の顔を見る。
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