婚約破棄をして乗り換えた元彼と妹と私の幸せ【現代、短編】
「ねぇねぇ、お姉ちゃん、なんて言ってるの?お姉ちゃんの彼氏じゃないの?ねぇってば!柚芽のこと話てるの?」
「あ、うん、違う。これからどうしようかって」
 私と、エリックの関係。これからどうなるんだろう……。
 柚芽を前にしても、私をかわいいと言ってくれて。
 柚芽をハグしてもなんとも思っていないようで。
「これから?えっと、どこ行くんですか?柚芽も一緒に行っていいですか?」
 ニコニコと笑って、柚芽がエリックの腕を取った。
 何で、そういうことするんだろう。
 そりゃ、彼氏かと聞かれて彼氏じゃないと答えたけれど。初対面の姉の知り合いに対する態度ではないよね。
「何て言ってるの?(英語)」
 エリックは動じることなく、単に言葉が分からないことで困った顔をしているだけのようだ。
「一緒に行きたいって(英語)」
「あはは、そうか。もしかしたら柚芽は、お姉さんに悪い虫がつかないように僕を監視するつもりだな(英語)」
 はい?
「柚芽には僕が君が好きだってことバレバレなのかなぁ。お姉さんのことが心配なんだね(英語)」
 そうなの?
 エリックは私のことが好き?
 え?
 柚芽は私の心配を?……なのかな?邪魔してやろうという悪意からの行動ではないと思ってはいるけれど。
 でも……。決して嬉しい行動ではない。
 一緒に……行動したら、エリックは、私よりも柚芽のことを好きになっちゃうんじゃないかなって。
 心がざわめく。
「でもごめんね、僕は、彼女との二人の時間を楽しみたいんだ。そうだね、彼氏だと柚芽に紹介してもらえる立場になったら皆で出かけよう(英語)」
 柚芽が私の顔を見る。
 いつもなら男の人の顔……いや、目をまっすぐ見て会話を続けるのに。
 ああ、そうか。何を言っているのか分からないから通訳してほしいということか。
「予定があるからごめんねって。また今度ねって」
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