永遠に咲け
「どうして、咲愛をこんなとこに連れてきた!?」
永久が中森に凄む。

「どうって、先程咲愛様が言った通りです。
永久様も覚悟してるんですよね?
永久様と生きていくことの意味。
あなたは今や“裏の王”ですよね?
会長の補佐のようなことされているんですから!」

「……んなこと、わかってるよ…
また…咲愛を傷つけてしまった。
大切なのに……世界で一番幸せにしたいだけなのに……」
「それは僕もです……
見せるつもりなんてなかった……
でも…頭に血が上って…」
「だったら、解放してあげてよ!
俺も、咲愛様のあんな苦しそうな顔見たくないし!」
「は?」
黒谷の言葉に、永久と中森がハモる。

「百合愛さんの葬儀の時、みんなで誓ったじゃん!
もう二度と、咲愛様を悲しませない。
苦しませない。
笑顔を守るって!
俺達は咲愛様の幸せが、永久といることだからみんなで守るって決めたんだから!」

「俺だってそうしてぇよ…でも……
できねぇんだよ…!?
そんなこと…俺が…!!」
永久の悲痛の思い。
「黒谷さん……僕にも、無理です……
でも咲愛様を傷つけることだけは、絶対にしませんから。
僕の幸せは、咲愛様が幸せで笑ってくれることです。
だから、傍でお守りしたい!」

中森は天涯孤独の身で、永一と永久の父親が施設から引き取ったのだ。
その時から、中森に他とは違う何か強いものを感じていた永一や永久。
永一が中森を咲愛の執事にしたのも、中森なら一生咲愛を守れると思ったから。
そして中森も永一の思いに、必死に応えて生きてきた。

「咲愛様がいてくれるから、僕は生きていけるんです。
あの方は、僕の“癒し”です」
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