君がくれた花言葉
そういうと優月は姿勢を正して僕の方を向き、
まっすぐ僕の目を見て言った。

「内豊くん。君は君のために咲いていい。いじめられてようが、誰かから批判されようが、あなたはあなたのために生きてるの。誰の人生でもない。あなたの人生を歩んでるの。だから、自分を一番に考えて。自分を大切にして。君は君のために咲いていいんだから。」

真剣な眼差しで言う優月を見て、僕は涙が止まらなかった。もうこれきりしか会えないと感じた。もう、今ここで帰れば優月には二度と会えない。明日にはこの笑顔を見ることも、この声を聞くことも、彼女が呼吸をしてる姿も見ることができないと感じたからだ。

「もう、内豊くん?そんな泣かないでよ!」

「…ごめん。ごめん。」

優月は謝ることしかできない僕の手を握り、僕の髪を触り、耳元に手を伸ばし、顔を近づけ、そっとキスをした。
あまりにも突然のことで、僕は驚いたが、優月が離れたところで僕はもう一度優月に顔を近づけ、今度は僕からキスをした。

そして僕らは目を合わせ、微笑み、お互いにありがとう。と言って、気持ちを確かめあった。

「優月、僕は君が好きだ。きっとこれから先も君以外の人に恋することは無いだろう。君に出会えてよかった。ありがとう。」

「私も内豊くんのことが好きよ。だから幸せになって欲しい。新しい人と出会う中で私のことを忘れないでね?私も内豊くんに出会えてよかった。ありがとう。」

「絶対に忘れないよ。」

そう言って優月の手を強く握って、今生きてることを実感した。

「じゃあ僕は帰るよ。また明日。花持って来るから。」

「うん。バイバイ。気をつけてね。」

明日なんてあるかも分からないのに、会えるかも分からないのに、僕はそう言い残して家に帰った。
途中、きっと明日なんてないことを感じていた僕は涙が止まらなくて嗚咽がでるほど泣いた。
周りの目なんか気にしてる余裕もなかった。
もっと前に君に出会えていれば、君を知っていれば、知ろうとして入れば、心は楽になっていたかな。
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