Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―

 え、どうしてここで「やっぱり」なの? 首を傾げるわたしが救いを求めるように開きっぱなしの応接間の扉へ視線を向ければ、手を握られているわたしの姿に驚き、幽霊を見てしまったかのように顔を青褪めているアキフミで。



「――どうして俺が留守のときにお前が屋敷のなかにいるんだ? 紡」




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