私の知らない恋の話。
もえはそういうと、食べ終えた食器を片付けて、ソファにうつ伏せに転がった。
しばらくして私も食べ終えて、ソファに寝転がるもえの脇腹を突く。


「……何」
「お風呂は?」
「休憩したら入るよ」


ソファの上でうつ伏せなのに伸びをして、んん〜っと埋もれた声を出す。


「……お風呂出たら一緒ゲームしよ」
「いーよ」


突然すぎる謎の誘いに即答すると、もえは満足そうにふふん、と鼻を鳴らす。
で、次の瞬間。


「えっ」


腕を引かれてソファに起き上がったもえに何故か抱きしめられた。


同居を初めて2週間。
何か、ここにきて昔のもえが出てきた気配。


膝の上に乗せられて、対面。
ギュッと力を入れられて密着する。


「もえ?」
「なぁに」
「お風呂は?」
「ん……」
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