私の知らない恋の話。
やけに甘えた声で私の首筋に髪をサラサラと当てる。


「なぎ……かまって」
「お風呂」
「んんん……」


何がそんなに嫌なのか。小学生みたいな駄々のこね方するのはなんなんだろう。


「……なぎ〜」
「何?」
「なんか……割と、一緒に住むのに抵抗ないよね」
「うん」


なんで、とこれまた不機嫌。
ずっと不機嫌。


「だってこの部屋広いし、元から一緒に住ませたかったみたいだし。
もえも家ないと困るでしょ。私が嫌だからってもえのこと追い出したらもえどうするの」
「……そうだけどさ」
「それに、ご飯美味しいし、家のことほとんどしてくれるし……なんか申し訳ないけど楽な生活してるし」
「なぎの役に立ってる?」
「……すごく」


ならいい、と急な上機嫌。
今日は気分屋なところが大きい。そういう日かな?


「俺、頑張る」
「いや、ほどほどでいいよ」


……真っ直ぐなところは変わんないな。
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