私の知らない恋の話。
休みの日もかまってほしいらしい
「なぎ」
「ん?」
「かまって」


……出た。
かまって。


「あ、そういえば。私今日夜いらない。食べて来る」
「……なんで」
「合コンの数合わせ」
「…………は?」


いや、顔こわ。
何その顔、初めて見た。
何その眉間のしわ。


「昨日キャンセル入った女の子の代わり。彼氏いないからいいでしょ?って押し切られちゃって」
「……んんん、なんで。かまってよ」
「家出るまではかまってあげるけど」
「夜もかまって……俺と一緒にご飯食べよ?ね?」


ソファに座る私の隣でお願い、と私の手を握るもえ。
甘えたタイム。


「いいよって言っちゃったもん、行くよ?」
「やだ。100歩譲って俺も連れて行って」
「それじゃ数合わせの意味ないでしょ」


んん〜……と、唸る。


「……そんな彼氏欲しい?」
「いや、数合わせだって」
「そんな彼氏欲しいなら俺が付き合ってあげるから〜……」
「違うって」
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