私の知らない恋の話。
いいから、と無理やり押し切って家を出た。
流石に、申し訳ないし、めんどくさいし。


私はちょっと遅れる、と友達に連絡をしてから歩き始めた。
……走っても予定より10分も遅れちゃうな。


割と頑張って歩いたものの、結局15分遅れて、私はペコペコしながら輪の中に入れてもらった。
既にサラダの仕分け担当はいるし、男の子の視線を集めるあざと女子の存在もあったから、割と楽な時間になりそうだな、と思ってたんだけど。


「深凪ちゃん、だっけ?」
「あ、うん……えっと」
「俺、真緒」
「あぁ、真緒くん。ごめんね、みんなの名前一気に聞いたから分からなくて」
「いいよいいよ、流石に一回聞いて覚えれたら天才だもん」


爽やか笑顔のイケメンに目をつけられてしまった。
……爽やか通り越して少しチャラい。
ピアスがキラキラ光ってるのがよく見える。


「深凪ちゃんって、5組の子だよね?」
「え、そうだけど……」
「俺、英語の講座一緒なの知ってる?4組なんだけど」
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