となりの紀田くん
「瑠威、さっきからおかしいよ!元気ないし、ボーッとしてるし」
「そ、そんなことないよ」
明らかに動揺した声で
俯く瑠威
そんな瑠威の姿を見て
何もないなんて
思えるわけない
「もしかして井形さんって………」
「……………せえ。」
やたら低い声で
私の言葉を遮るが
上手く聞き取れず
「え?」
思わず聞き返してしまった。
「うるせぇ………ゆあには関係ないだろ」
そう言った瑠威の顔は
今まで見たこともないくらい
怖い顔をしていて…………
ズキッと頭が痛む。
確か前にも誰かと
こんなような会話を
したことがあったような………
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旅館について
荷物を部屋に
持っていくため
一人でボーッと歩く。
結局あれから
瑠威とは一言も話さず
どこか冷めきったような
瑠威の顔が頭から離れない
苦しいよ………
この感情は一体何?
それとはまた別の問題で
私は今、未知の領域に
足を踏み入れようとしていた
考えろ、考えるんだ
内倉優亜!!!
クラスに瑠威以外
まともな友達がいない私が
今、この未知の領域に
入ろうとしているんだ………
まず、誰と一緒に
なったかさえ
正確に覚えていない。
そこで、みんなと
打ち解ける為にはまず
初めの第一声と印象に
関わってくるわけだ………
「やあ、みんな!今日から3日間よろしくね!」
いやいやいや!
何か違う!やあってww
なに、なんなの
なんのキャラ!?
「いえーい、沖縄楽しいねぇ!君たちもenjoyしてるー?」
いや、もうどうしたw
私という人格が
まるごと変化してる………
違う、もっと普通で
差し障りのない挨拶を…………
「何をしているの?」
「うわぁっ!!!」
急に後ろから
肩を掴まれ
驚きすぎた私は
後ろに跳び跳ねるのと同時に
間抜けな声を漏らす。
「おかしな人………」
そんなことを呟いて
私を一瞥すると
彼女は躊躇いもなく
目の前の扉の中へと
入っていったーーーー