東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・2

『無敵丸剛太VS謎の男』

剛太は、カミラと魔王展の者との闘いを静観していた。が、その圧倒的で爆発的な攻撃力に驚嘆していた。
私は通用するのか?

剛太はその2メートル近い体格ながら、動ける男だった。得意技は空手を基本とした蹴り。蹴りと言っても、四肢の長さは武器であり、鍛え上げられた筋肉から繰り出される打撃は脅威であった。
いつか有事の際には、こういう時が来る事を想定していたのだ。臆している場合ではない。
男がこちらを見上げている。
こうしてみると意外と小さい。掴める程に近づいてしまった。どうする。
男が出し抜けに腕を伸ばしてきた。掌を前に。
さっきカミラが使っていた技だ。そう認識して、咄嗟に腕を掴んでいた。
バチッ!
掴んだそこから放電した。
痛みを感じたが、離さない。
腕を掴んだまま、右ローを叩き込む。
バシン!
いい音だ。キレイに膝裏に入ったローは効いた筈だ。
ぐきん。
何が⁉︎膝裏を捉えた右足の甲が弾かれた。何に。
男は蹴られた態勢のまま、脚を押し返していた。
痛みは無いのか?そんな疑問のまま体を戻すと空手の三戦立ちから正拳突きを連打する。打ち下ろしの連撃は5発。
全て空を切った。男の手の甲で捌かれていた。
こいつは空手も!
剛太は距離を取る。男の右ミドルキックは空振りした。
剛太は愕然とした。
空手に於いて、日々の鍛錬は如実に現れる。しかし、こうも当たらないものか。
剛太は右脚を後ろに引いた。

前蹴り。前蹴り最強説。
無敵丸剛太は絶対の信頼を持っていた。
空手の華は、空手のハイキック上段回し蹴りや胴回し蹴りであるが、真の決め技としての精度として前蹴りが最強だと思っていた。
古くはジャイアント馬場の十六文キックや蝶野正洋のケンカキックなど、形や蹴り方は違えど成果を上げている。
絶対的信用度である。

剛太の前蹴りは、フィンと呼び独特の軌道を描いて放たれた。









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