東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・9

終わった。
マイクは覚悟を決めた。
「いつもいつも、こう」
自分の運の無さを呟いた。
片足立ちの片足を払われていた。
落ちた体を抱きしめられていた。
藤堂飛鳥である。
「まだだ!」
飛鳥な声も覚悟に満ちていた。

『斜骸丸VS藤堂飛鳥VSマイク・ゴールドスミス』

走馬灯のようである。
自分の不運が思い出される。
大きな決断や局面にて、必ず裏目が出てしまう人生。何故こうなる?何故こうなってしまう?
後悔だらけの人生だった。
今回も得体の知れない事案に飛び込んだのは事実だった。興味本位でもあったがしかし、本来の目的にすら到達出来ずに
自分は何をやっているのか?
疑問符すら不要な。

ぼんやりと眼前の風景が戻る。
何やら、黒い球体が浮かんでいる。
ソフトボールほどの球体は、両手に内側に浮かんでいた。
藤堂飛鳥の両手の中に。

自分の身体の前に、先程太腿を治療した男がいて、両手を掲げているのだ。
その先に球体がある。
「脚を!治せる⁉︎」
理解した。この男は守ってくれている。
太腿を止血しながら、状況を判断する。
あの黒い球は?
見ると、白い尖った物が黒い球に吸い込まれている。
あれは?
白い男が振る刀の破片が吸い込まれているのだった。
よく見ると、間は空いているものの刀の刃の形を成しているので繋がっているのか、吸い込まれまいと白い男は脚を踏ん張り耐えていた。

QQ
藤堂飛鳥の究極奥義である。
その威力から、一日一回しか使えない技である。
飛鳥自身、理屈はわからないが全ての物を吸い込み、無に帰す。
最強の技である。

止血を終えた。
失血の為、意識が薄れているが、マイクは思う。太腿を失った者同士、身動きもままならないがなんとかなるのか?
なんとかするしかない!
「やる!」
マイクは鼓舞した。








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