東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
マイクは距離を測る。
不思議な球体だった。
あの男は引っ張られている。
あと少し、あと少し。
白い男は、必死に柄を握っている。
あれは大事な物なのだ。
すぐに解った。
あれを奪え。

飛鳥は両手を広げている為、動けない。
飛鳥の上半身を起こしてやる。
より高く、吸い込ませてやる。
飛鳥も理解して、脚を曲げ座る姿勢をとる。その陰に隠れるように機を待った。
斜骸丸の足が、ずっと滑った。
この時だ!
マイクは、飛鳥の右から出た。
残った右脚で地面を蹴った。
自分でも、慣れないながらよく飛べた、そう思った。
「爆砕…」
右手が斜骸丸の肩へ当たる瞬間、白い男は驚きの行動をした。
自ら前へ出た。
左肩が爆烈した。が、白い男の右手がマイクの腹に届きそうだった。
咄嗟に身を捻り躱した。
片脚ではバランスを取りきれなかった。
斜骸丸の腕を掴んだが、左肩から落ちていく。
奇妙な感覚を、左肩に感じた。
肩を見ると、黒い球体に触れていた。
この感じ。
喪失感。
QQ
飛鳥も驚いていた。
まさか、こんな…。

非常事態だが、QQもまた消せなかった。飛鳥は身を引き、離れた。
どお、と倒れるマイクと斜骸丸。
左肩を押さえて、マイクは絶望した。
痛みも無く、すっぽりと穴が開いたようである。
自分の左腕を探すと、まさかである。
左腕を斜骸丸が持っていた。

マイクの左腕を左手に持った斜骸丸は、右手の柄に腕を差し込んだ。
まるで、腕そのまま刀身になったようでる。
そして不思議な現象は続く。
マイクの腕の骨だけが残り、服や肉片は骨に吸収されていく。
そして研ぎ澄まされ、腕の骨だけの剣が出来た。
骨から剣を作り出せる、恐ろしい能力。
人がいる限り無限である。
斜骸丸の左肩は燃えていた。
骨の剣を、頭上高く構えていた。










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