東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
伽藍学園校庭内には、5人の者がいた。
王道遥
無敵丸剛太
摂津秋房
黒ずくめの男
カミラ・シルバーストーンである。
上の2人が一緒にいて、距離を置いて摂津と黒ずくめが一緒にいた。
カミラだけが状況を静観する為、校舎下の生垣に潜んでいた。
そのすぐ横に奇妙な雲のような物が現れたのは、その時である。
カミラはギョッとして、その雲のような物を見つめた。
白い霧状の物は、少しずつ大きくなったいて、直径50センチくらいの球体になった。よく見るとその球体の左右から棒状の物が、1本ずつ伸びていた。
更に、棒状のその先にまた小さな球体が出来ていた。
小さな人型みたい、カミラがそんな風に思っていると、肘に当たる部分から棒が折れ曲がり、正にファイティングポーズをとった。
!!!
カミラが反応するより速く、右のストレートが伸びて来た。文字通り腕のような物が伸びて、躱すひまさえ与えなかった。パンチを顔面に受けたカミラは、鋭い痛みを感じていた。通常のパンチとは違う痛みだった。
隠れている手前、声を出すわけにもいかずぐっと堪えた。
カミラは反撃のパンチを繰り出したが、正に雲を殴った様にスカッと抜けてしまい、全く手応えがなかった。
奇妙な現象に、どうしたものか思案している束の間、白い雲みたいな物体は霧散して消えてしまった。自分の打撃が効いたのか。あまりの手応えの無さに、信じ難かった。

同じ頃、伽藍学園のそばのとある住宅の敷地内に、屈んでいる者あり。
何かぶつぶつ言っている。
「違った。誰だろ?」
暫し考え込みと、
「気配だけじゃ、精度が低い」
と言ちた。
「知ってる気配は、と」
目を瞑ると、考え込み。眼球が瞼の下で動き回る。
「下だなぁ。アストラルワン」
そう呟いた。









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