東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・10

伽藍学園へ向かう坂の下。
4人の男。
立っている巨大な男。
左脚を失った男が2人と、頭部を失った男が1人。
異形である。
動いた。
上半身を起こした。
頭部を失ったと思われたが、実際には右半分が失われていた。脳は無くなっていた。残った左目で見渡した。
ゾンビ映画で鍛えられた若者でも、実際に目にする光景に言葉を失った。3人は知らなかったが、剣鬼に身体を支配された者は脳が出す指令だとか、そう言う概念は無いものらしかった。
ゆっくりと立ち上がる。
「この体、気に入ってたのに」

左脚を失い、左肩から腕ごと欠損したマイクは正座していた。大きな声で叫ぶ。
「私はマイク・ゴールドスミス。訳あって加勢した。無敵丸家の方!ここにはこんなモンスターがいる。だとしたら、学校ではどんな事が起きているか想像出来ない。早く行ってください!それがあなたの使命だ。ここは私に任せて」
言い放った。
無敵丸甲児は、不気味に立っている斜骸丸を見つめながら、
「こんな状況想定してなかった」
呟いた後、
「私は無敵丸甲児だ、言葉に甘えよう。済まない、恩にきる。何が起こっているのか突き止めたい」
マイクは、右手の親指を立てた。
その背後、藤堂飛鳥も正座していた。
「藤堂飛鳥だ!王道遥と言う者がいるはずだ。会う為に向かっていた。伝えてください!必ず行きますから、と。ここは彼と一緒に片付けます」
飛鳥は一礼する。
甲児はニヤリと口角を上げると、
「ありがとう。今度、話をしよう!俺達は気が合うはずだ。借りは返す。また会おう!」
甲児も親指を立てると、踵を返した。
学園へ向かい歩き始める。

立ち尽くした斜骸丸は、マイクと飛鳥の方へ顔を向けた。
「邪魔ばかりしやがって」
その眼前に、雲みたいな塊があった。










< 31 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop