東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
アストラルワンと告げた、フェイの能力。雲の塊のような腕の生えた人型は、俗に言う幽体離脱である。
しかも、遠隔操作が出来て攻撃も行える特殊能力である。

フェイ・ドラン。
韓国系米国人。
マイクとは、面識があった。
書院から依頼された、この度の案件の説明をマイクと共に受けたのだ。
面識のある者の気配は解るようだった。
マイクの危機を感じ取り、馳せ参じたのである。

『斜骸丸VSフェイ・ドラン(アストラルワン)』

斜骸丸の前に、雲の塊のようなアストラルワンが立ちはだかった。小さな細い2本の腕がファイティングポーズを取っている。
頭の右上半分を失った斜骸丸の姿は異様であったが、対面する2つの姿も異様そのものだった。斜骸丸の右手には、マイクの左腕の骨から製作した刀が握られていた。

アストラルワンが対峙している裏で、飛鳥とマイクが会話する。
「なんだアレは?」
飛鳥の問いに。
「私の友人だ。助けに来てくれたのだ。
それより飛鳥と言ったかい。2人とも脚を失った。止血はしたと言っても、失血が酷い。もう動ける時間は少ない。2人であのモンスターを止めるんだ」
飛鳥は頷いた。
全くの異形である。一体何なのだろうか?人ではない何か。止めてやる。それが使命とすら思えた。それが出来るのは、陰陽狩りである自分だと。
マイクは続ける。
「僕は腕もない。まともに動く事もままならない。飛鳥、君は僕の後ろで待て。
僕が引きつけるから、そこを叩け!」
マイクの意思は解った。しかし、囮に使うようで気が引けた。
「気にするな。こうなったのも天命だ。
人間万事塞翁が馬。日本人はいい諺を持っている」
何という男だ。このタイミングでそんな考え方が出来るとは。
飛鳥も覚悟を決めた。









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