東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
龍王院真琴の愛と切望。
龍王院真琴がその存在を知ったのは、小学5年生の時である。小さな頃から、龍王院家の生い立ちや役割について両親から聞かされて育ってきた。その中で、上位の関係にある家柄がある事も聞いてきた。
鳳竜堂家。
京都にある“書院”を司る家系で、龍王院家はそれをサポートする役目の家柄にあるという。
全く理解し難い話であったが、京都へ行ってその家族に挨拶しに行く事になった。それが、小学5年生の時である。
鳳竜堂家には、真琴よりも一つ歳上の跡取り息子がいる事も聞いていたが、もちろん会った事はなかったのだ。
その時の事を真琴は、昨日の事の様に思い出すこのが出来た。
あの夏、京都の豪邸に佇む眉目秀麗な少年を見た瞬間から、その思いは既に決まっていた。
私は、鳳竜堂真琴になる、と。
ただ、格式が高く、上位関係にある家柄と婚姻関係になるという事が、どんな事なんだろうと漠然と思うに過ぎなかった。
柊一との会話もそんなにした訳ではない。
その思いの丈は離れていても、強くなる一方で奈良に住む真琴にとっては、その距離がもどかしかった。
中学に上がる頃、柊一にまた会える機会があった。
その時に、サポートする、という認識を初めてしたような気がする。
柊一は護符を使い除霊するという。
護符に念を載せる、その力で除霊する、全く理解のできない話であった。
真琴自身は、両親に教えられている事もあったが、自分には治癒能力の他に、他人に力というかエネルギーを分け与える事が出来る事に気がついていた。
それは、両親には出来ない能力であった。
その時の柊一の除霊対象は、古びた人形であった。
黒髪の日本人形に霊が取り憑いたとかで、夜な夜な動き回るその人形の除霊をするというのだ。その当時の鳳竜堂家当主の父親が課した、柊一への初めての課題であった。そこへ、龍王院家は呼び出された形である。
魑魅魍魎やオカルト的な事には、小さな頃から慣らされてきたので、真琴にとってはどうという事はなかった。
しかし、それが恋焦がれた少年の動向となると、話は別である。応援どころか、私がどうにかしてあげる、という気にさえなっていた。
緊張した面持ちの柊一は、顔面蒼白であった。
8畳ほどの部屋の真ん中に置かれた人形に対峙する少年、異様な光景である。
それを囲んで見守るは、鳳竜堂家現当主と龍王院家現当主である真琴の父と真琴、人形の持ち主であるこの館の主人である。その主人は、人形を持ち出して処分してほしいとの意向だったのだが、霊との繋がりを断ち切るのには、この館の方が相応しいとの鳳竜堂家の意向により此処にて行われる事になったのだ。
龍王院真琴がその存在を知ったのは、小学5年生の時である。小さな頃から、龍王院家の生い立ちや役割について両親から聞かされて育ってきた。その中で、上位の関係にある家柄がある事も聞いてきた。
鳳竜堂家。
京都にある“書院”を司る家系で、龍王院家はそれをサポートする役目の家柄にあるという。
全く理解し難い話であったが、京都へ行ってその家族に挨拶しに行く事になった。それが、小学5年生の時である。
鳳竜堂家には、真琴よりも一つ歳上の跡取り息子がいる事も聞いていたが、もちろん会った事はなかったのだ。
その時の事を真琴は、昨日の事の様に思い出すこのが出来た。
あの夏、京都の豪邸に佇む眉目秀麗な少年を見た瞬間から、その思いは既に決まっていた。
私は、鳳竜堂真琴になる、と。
ただ、格式が高く、上位関係にある家柄と婚姻関係になるという事が、どんな事なんだろうと漠然と思うに過ぎなかった。
柊一との会話もそんなにした訳ではない。
その思いの丈は離れていても、強くなる一方で奈良に住む真琴にとっては、その距離がもどかしかった。
中学に上がる頃、柊一にまた会える機会があった。
その時に、サポートする、という認識を初めてしたような気がする。
柊一は護符を使い除霊するという。
護符に念を載せる、その力で除霊する、全く理解のできない話であった。
真琴自身は、両親に教えられている事もあったが、自分には治癒能力の他に、他人に力というかエネルギーを分け与える事が出来る事に気がついていた。
それは、両親には出来ない能力であった。
その時の柊一の除霊対象は、古びた人形であった。
黒髪の日本人形に霊が取り憑いたとかで、夜な夜な動き回るその人形の除霊をするというのだ。その当時の鳳竜堂家当主の父親が課した、柊一への初めての課題であった。そこへ、龍王院家は呼び出された形である。
魑魅魍魎やオカルト的な事には、小さな頃から慣らされてきたので、真琴にとってはどうという事はなかった。
しかし、それが恋焦がれた少年の動向となると、話は別である。応援どころか、私がどうにかしてあげる、という気にさえなっていた。
緊張した面持ちの柊一は、顔面蒼白であった。
8畳ほどの部屋の真ん中に置かれた人形に対峙する少年、異様な光景である。
それを囲んで見守るは、鳳竜堂家現当主と龍王院家現当主である真琴の父と真琴、人形の持ち主であるこの館の主人である。その主人は、人形を持ち出して処分してほしいとの意向だったのだが、霊との繋がりを断ち切るのには、この館の方が相応しいとの鳳竜堂家の意向により此処にて行われる事になったのだ。