イケメン彼氏とはじめる相思相愛

改まって自己紹介したら、


「ああ、もちろん知ってるよ、だから来たんだ」


と一颯が言った。ひゃ〜スマートな答え。


「話には聞いてるよ、よろしくね」


とあくまでもカノジョの友達に対する愛想の良さで、サラッと挨拶する裕樹。

一颯の答えに、何だかドキドキして、もうしょっぱなから完全に呑まれてしまう。
絵里奈は真っ赤になった。

かっこいい⋯⋯ 。

友達の轟裕樹と笑ってる、男らしいな、彼の声が耳から体に染みる、グラスを持つ大きな手と長い指、
形良い口でパクってきれいに食べて⋯⋯ 。

もう食事も食べる事を忘れて、見てしまう。
至近距離! 目に収めよう! 録画! なんて、頭がおかしくなってしまいそう。
もうこんな事はないだろうと、せめて彼の隣を味わって、彼の顔を息を呑んで眺めていたのだ。


「あれ、食べないの? 」


ってさりげなく気がついてくれて、あ、そっか、真緒と裕樹が付き合ってて、彼の話す相手は私しかいない状況だ! だのに黙って食べもせず、大変失礼だった、と慌てて、「食べますね! 」てフォークを動かしたら手が震えてた。

なさけないよ、恥ずかしい。
ほんとはほんとは、こんなチャンス、頑張るはずなのに、何を頑張ればいいんだっけ? そう、ちゃんと話して、ちゃんと食べて⋯⋯ 。

彼の少し鋭い目。
仕事中は、まっすぐ前を見て、揺るぎなく皆を良い状態に率いる目。
群れを率いるリーダーみたいだ。

今はオフだけど気は抜いていない。
周囲の物音にも機敏に、食べて、いちいちキュッと、キュッと、視線を抜かりなく一瞬一瞬、とどめて、過ぎていく。


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