イケメン彼氏とはじめる相思相愛

残っている一颯の気配。
背中に感じた熱。
彼の体温や声をまだ感じながら、ドキドキがとまらない、その空気を切るように、


「エリナちゃん」


と、横からいきなり名前で声をかけられ、ビクッとした。
声の方を見たら絵里奈のすぐ近くに、首を傾けて立っている男性と目が合った。
さっきまで一颯のそばにいた友人の一人だ。

周りの人よりぐっと若く見える。
大学生みたいだ。
明るい雰囲気で、柔らかく笑みを浮かべているが、会社員にしては髪色が明るすぎるし、態度も何だか軽い感じがする。得体が知れなくて、絵里奈は後ずさった。

いつもなら避けるタイプかな、って思う。
だって、何でこんないきなり親しげなの?


「エリナちゃんって言うの? カワイイね」


とさらに近寄ってきて、せっかく残っていた一颯との空気にグッと割り込むみたいな、まだ知り合いでもないのに、近いって!
ん? ⋯⋯ エリナちゃん? って⋯⋯ 、名前呼びだと気がつく。


「オレ、シンヤ。今日は来てよかったな、出会いってどこにあるか分かんないよね」


とかがんで、顔の横で言われる。

遠慮がなくて、人付き合いが上手いんです、と言わんばかりの雰囲気だし、顔もかなり整っているけど、ひゃー、だめ!
気持ちがザワリとした。

こんな感じの男の人は苦手だ。
他人に対しての距離感や親しさの基準が違う感じ。

本当に一颯さんの友達?
どのぐらい仲がいいんだろうか。

絵里奈はさっとシンヤから距離をとった。

友達が連れてきた彼女だって分かっているはずじゃない?
その人が席を外した途端にこんな風に近寄ってきて、馴れ馴れしくて名前呼びで、話し方も態度も好きじゃないし警戒してしまう。
わざとらしい感じ。
もし本当に悪気なくこんな態度なら、その感覚が余計好きじゃない。

< 38 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop