LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「だよね。
私、子供がまだ小さいから、子供が熱出したりで早退したりとか時々あるけど。
川邊部長、それは遠慮なく言えっていつも言ってくれていて。
そうやって私が抜けたら、その分の仕事のフォローもしっかりしてくれるし。
うちの子達に、こないだもクリスマスプレゼントくれて。
あの人、いい人よね」


松嶋さんも、篠宮君に話し掛けるようにそう話しているけど、
それは周りに聞こえるように。


「あれなんです…。
川邊部長がこうやって悪い噂が流れて怖がられているのは、僕のせいなんです」


そう言う岡田さんに、え、と思う。



「僕、元々トイ企画開発部の二課だったんですけど。
誰とは言いませんが、その時の上司からパワハラを受けていて。
そんな時、川邊部長は初め僕と同じその課に配属されたのですが、
そうやって辛くあたられている僕を見かねて、その上司と言い合いになって…。
そのすぐ後に、三課が出来て、川邊部長はそこの課長になったのですが、そこに僕の事も引っ張ってくれて。
で、あれなんです。
その僕の事をパワハラしていた上司が、その…川邊部長の事を恨んでいて悪く言い出して…。
ある事ない事言い出して…川邊部長には近寄らない方がいいって…」


そうなんだ。

それで、この会社であれほど篤さんの事が噂になっていたんだ。


ただ、そのパワハラ上司がそうやって噂を流さなくても、
篤さんの事は噂にはなっていたかもしれないけど。


その岡田さんの告白に、周りはヒソヒソと、そのパワハラ上司の特定を始めていた。


あの人ではないかと。



その雰囲気に居ずらそうに席を立ち、この食堂から出て行ったのは。


トイ企画開発部二課の課長。

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