天敵御曹司と今日から子作りはじめます~愛され妊活婚~
克洋がもう一度右手を振り上げたので、殴られると覚悟して目を閉じた。

すると玄関のドアが開く音がして、髪から手が離れる。


「女に手を上げるとは最低だな」


怒気を含んだ声に目を開けると、小暮さんが怒りの形相で克洋の手をひねり上げていた。


「お前には関係ないだろ!」

「椎名の名誉にかけて言っておく。彼女は浮気をするような女じゃない。勤勉で誠実な女性だ。それもわからないお前に彼女はもったいない」

「放せ!」


克洋はもがいているが、完全に小暮さんの力が勝っていて動けない様子だ。


「まだ暴れるなら警察を呼ぶ」


警察という単語が出たからか、克洋がおとなしくなり始めた。


「椎名、部屋の鍵を貸せ」
「えっ?」


小暮さんの発言の意図がよく理解できないけれど、切羽詰まっていた私が言う通りにすると、彼の車の鍵を渡された。


「車まで走れ」


まさか、私を逃がそうと?


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