天敵御曹司と今日から子作りはじめます~愛され妊活婚~
自画自賛している小暮さんの横で、私もカップを手にした。

けれども震えが収まらず、コーヒーの水面が小刻みに揺れている。


「おいしいです」


なんとか口をつけたが、本当は味なんてわからなかった。


「気に入ってもらえた?」
「はい」


カップをソーサーに戻してうなずくと、彼は口の端を上げる。


「だったら、また飲みに来い」
「えっ?」
「いつでも相談に乗る」
「……ありがとうございます」


上司の彼に仕事の相談ならまだしも、プライベートのいざこざを聞いてもらうわけにはいかない。

でも小暮さんの優しさがありがたくてうなずいた。


「これからどうしたい? あの人とまだ付き合っていく?」


核心にグイッと踏み込んできた彼に、首を振って意思を示す。

こんなに震えているのにもう会えない。
いや、もう二度と会いたくない。

< 29 / 37 >

この作品をシェア

pagetop