豆腐と私の50日

 EP.13



 春斗の表情で、私は事を把握する。

 
 その場は、一度立ち去ることで鼓動を静めた。



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 「春斗君のお母さんからさっき連絡あって、お父さん亡くなったって。」

 私もママも、今朝のことはすっかり忘れていた。
 覚えていたとしても、笑い転げることはないだろう。

 「そっか…。」

 「沙紀はとりあえず今のままでいなさい。春斗君になんか言われたら真剣に聞いてあげるぐらいでいいと思うから。」

 優しいママの正解論を耳にしまう。

 「わかった…」

 親の普段の姿を見ているだけに、こういう時、強く見えてしまう。
 強い大人に憧れてしまう。



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 忌引きの期間が明けた後も、春斗は休んだ。
 そして、学校に訪れた春斗の母親の姿を校門の前で焼き付けた。



 
 「さっき、北海道の実家に戻るかもって美和子さんが、あぁ春斗君のお母さんがね。わざわざ言いに来てくれたわ。ご両親が心配してるからって。」

 「そうなんだ。」

 言葉が出てこない。
 返事をする以外の言葉が見つからない。

 春斗がいなくなる。
 そんなことあるんだ。
 


 心が妙に静かに収まりだした。

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