オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ
又一週間後。

三和(みわ)寛一(ひろかず)と申します。本日は峯野様の衣服のメンテナンスを行います」
次にやってきた人は、河原塚さんとは真逆の印象の人だった。白いシャツに、黒いズボン。ヤンキーバイク暴走族に比べるととても普通に思える。綺麗なお辞儀をする彼には、清潔感溢れる佇まいを感じられた。


彩響は早速彼を浴室に案内した。そこに山積みになった洋服を見て、三和さんが静かに尋ねた。

「…洗濯機、お持ちですよね?」

「まあ、一応」


洋服の山を退けると、いつ使ったのか全く覚えていない洗濯機が顔を出す。三和さんは特になにも言わず、素早い手つきで洗濯物を仕分け始めた。一瞬の迷いのないその所作につい見とれていると、三和さんが振り向く。


「こちらは一人で片付けますので、峯野様はご自分の用を済ましてください」

「あっ、はい。じゃあよろしくお願いします」

なんだか気まずくなり、彩響は大人しく自分の部屋に戻ることにした。




「そろそろお暇させて頂きます」


以前のように夜になり、三和さんが作業完了の報告をしに来た。彩響はびっくりして時間を確認した。気づくと結構いい時間になっていて、彩響は慌てて外へ出た。すると、ベランダには整った形で干してある洗濯物が目に入った。予想通りに、何もかもが綺麗になっている。感謝を伝えるため振り向くと、なんと、家政夫さんの両手で握っている自分の下着が見えた。

「ちょ、ちょ、ちょっとそれは…」

「先ほどこちらのブラやショーツのレースが5ミリほど取れていたので、縫っておきました。ついでにパットの部分もはみ出ないよう隙間を埋めましたので、これからは気楽に着用できるかと思います」
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