オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ

お試し三回目。


「雛田(ひなた)林渡(りんと)です！今日はよろしくね！」


やってきたのは１０代の若い少年だった。丸っこい顔で、仕草がとても愛らしい。学校のクラスではきっと皆のアイドルなんだろう。彩響は軽く挨拶して彼をキッチンへと案内した。雛田くんは軽やかな足取りで付いてくる。


「お客様情報見たんだけと、なにかアレルギーがある訳じゃないよね？」


そういえば申し込むときの情報記入ページに食べ物の好き嫌いに関する項目があった。いい歳して恥ずかしいのは意識していたけど、素直に嫌いな食べ物に「ピーマン」と書いておいた。だからとはいえ、特にピーマンにアレルギーがあるわけではない。


「アレルギーとかではないけど…」

「よかった！じゃあ早速料理するね。めっちゃうまいもの作るから、楽しみに待っていて！」


そして、一時間後。


「さあ、できたよ！」


雛田くんの呼び声に彩響は再びキッチンへ向かった。テーブルの上に並んである料理はすべて食欲をそそるものばかりで、彩響は思わず声を出した。


「うわ、頂きます…！」