オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ
彩響は勢いよく口に料理を運んだ。こんな暖かい手料理を食べたのは一体いつぶりだろう?もう覚えてもいないくらい遠い昔のように思える。


「凄い、なにもかもおいしいです!」

「だよね?」


うま過ぎて箸が止まらない。次々完食していく彩響を、雛田くんがニコニコ見守る。その視線がちょっと恥ずかしくなり、響は視線をそらした。


「すごく美味しかったです、ご馳走様」

「お粗末様でした!へへっ、食べられてよかったね。実は、峯野さんの苦手なピーマンも使ったんだ。どう、気付いた?」


その言葉にびっくりして空の皿を見直す。しかしどこをどう見ても痕跡は残っておらず、食べる途中も全く気付かなかった。凄い、幼いからとはいえ、決して実力が足りないわけではなかった。


「作りおきも冷蔵庫にあるから、ちゃんと食べてね。明日と明後日くらいまでは問題ないと思う」

「あ、ありがとうございます…」

「それにしても、ピーマン嫌いな大人とか久しぶりに見たよ。峯野さんって、見た目大人なのに中身は子供なんだね」

「はい…?」

「あ、大丈夫、俺、そういうのも全部理解できる、包容力ある男だから。いつでも呼んでね、彩響ちゃん!」


何かを答える前に、幼い家政夫は帰っていった。彩響はしばらくぼうっとして、最後はあっけなくて笑ってしまう。


「3番目は生意気なガキ。これで4番目が普通だったら、逆にがっかりするかもね」


まるで小説の連載を待つような感覚で、彩響は最後の家政夫を待つ。

そして、その4番目の人は――

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