白鳥学園、いきものがかり


……な、ぎ?どうして急に。


ひったくられた袋。床に落ちた食べ物とペットボトル。凪の手には、スグルとコラボした紅茶。


「…凪……?」

「俺の事馬鹿にしているのですか」


え?

投げつけられたペットボトルが私の真横にぶつかった。
驚きと恐怖でその場にへたり込む私と、見下ろす凪。


「態々傑の物を買って来て、俺に飲めと?」


何のことを言っているのか分からない。
ただ……凄く怒っている事だけ伝わる。


「こ…れは私が飲みたくて…」

「ハハ…そうですか。紬は俺よりも傑が良いってことですか」

「そんな…傑だから買ったわけじゃ…、」


前に飲んだ時美味しかったから。ただそれだけ。


「きゃっ…!」


耳元でバンっと大きな音が鳴り目を瞑った。
凪が私の顔の横に手を付いたのだ。


………っ、怖い。


初めて見る凪の顔、初めて見せた凪の私に対する行動。全部怖くて仕方ない。

俯こうとした私の顎を持ち上げた凪。
私は怖くて無意識に震えていた。


「傑の次は累?あんなのに出て、累と恋人ごっこまでして、楽しかったですか?」


喉の奥がイガイガする。
まるであの時みたいに…。



「俺と永遠に一緒だって、俺の事受け入れるって…紬が許可したんですよ?それなのに…どうして他の奴といるんですか」



ゲホッ!!
吐き出した血。紘の前でした時と同じ。

………ッ、どうしよう。また悪化しちゃう。

退院したばかりなのに。
やっと……学校に通えるようになったのに。

こんな調子じゃ……、パパとママの所にも行けなくなっちゃう。



「……………ゲホッ、!」



いつもならすぐに病院に電話してくれるのに。
いつもなら一目散に私の体調を気遣ってくれるのに。

その日の凪は、吐血した私を見ても何もせずに………、



「────────…っ!」



唇を重ねた。


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