白鳥学園、いきものがかり
自分の血の味と伝い落ちた血。
────────凪の唇。
「んっ!…んんっ!」
いっ、いや…!
何度も凪の胸板を押す。
けれど私の力では押し返せない。
凪の舌が私の口の中に入った。
血と唾液が混ざり合う。
ようやく離れた凪は自分の唇についた血と唾液を拭った。
…………ッッ!
私は凪の隙間を這って通り、駆け足で玄関へ向かう。
けれど、あと少しの所でしゃがんでしまった。
突然胸が痛くなり、呼吸が乱れる。
咳が出るたびに更に呼吸が厳しくなっていく。
「────────紬、」
びくっ!!
恐る恐る振り返った。
凪の手には雀のポーチ。
凪は私の身体を支えると、口を開けるよう指示を出す。
「っ…いや…、」
「今薬を飲むと血と一緒に胃に入りますよ」
親指を入れられ、広げられ奥へと指を突っ込まれる。
「少し…我慢してください」
口元へ運ばれた袋の中で思いっきり吐き出した。
食べていた物なんて無かったから、何も出ない。
「うぇ……うっ、やだ…吐きたくない…いや…」
嫌な思い出が蘇る。食べれなくて吐き出してたあの嫌な日々が。
背中を擦る凪に向かい何度も首を振る。
それなのに出てしまうのが辛い。
「…口の中を濯ぎましょう。その後に薬です」
凪は私の身体を抱き上げると洗面所へ向かった。
……気持ち悪い。水も受け付けたくない。
濯いだ後に薬を向けられたが、左右に首を振った。
怖い…凪の傍に居たくない。帰りたい。
「────────また俺を拒絶するのですか」
凪は自分の口の中に薬を入れ水を含む。
抑えつけられた顔。近付いてくる。
「やっ…!」
また重なり、水と薬が入って来た。