白鳥学園、いきものがかり



——————テレビ局内。

ネイビー色のスーツに身を包む、茶髪の女性。眼鏡越しでも分かる美人だ。


手には携帯。
通話終了画面に”スグル”の文字。


「…なんでそこまでして、あの子にこだわるの」

「おっ!美咲(みさき)ちゃん!」


頭にタオルを巻いた色黒の男が叫んだ。


「佐々木さん!ご無沙汰しております!」


さっきの悔しそうな顔は何処に行ったのか、笑顔になった。


「相変わらず美人だね~。スタイルも良いし!マネージャーからグラビアにでも転職しない!?

…おっと。流石に彼氏さんに怒られるかな!」


ガハハと笑う男に美咲と呼ばれた女も、フフっと笑った。


「私今片想い中なので、彼氏いないんですよ」

「え!?美咲ちゃんみたいな子でも!?」


美咲はにっこりとした。


「でも美咲ちゃんなら大丈夫ー!美人だしな!」

「ありがとうございます。では仕事に戻りますので」


またなーと手を振る男に美咲は軽く手を振って、その場を後にする。

色黒男が見えなくなってから呟く。


「ほんとそう…どうして私じゃ駄目なのよ」


首から下げられた社員証が光で反射する。

卯西 美咲(うにしみさき)
切りっぱなしの毛先が左右に揺れた。



***


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