白鳥学園、いきものがかり
翔は笑うと、鼻頭に人差し指を置く。
「吃驚した?」
「び…びっくりするよ」
驚き過ぎて心臓がバクバクしている。
衣装に付いてあった白い羽根が舞う。
翔が天使に見えたなんて…。
そんな恥ずかしい事言えない。
「狐塚…?どうやって入って、」
実くんの目が見開いている。
驚いたのは私だけじゃなかったみたい。
あははと笑った翔が、窓の外を差す。
「窓からに決まってるじゃん」
「なに、言って」
まさか!また…!
疑問だらけの実くんを置いて、翔に詰め寄る。
「いくら家が隣だからって窓からは入ってこないでって言ったでしょ!」
窓の外、大股一歩ほどの距離にある一部屋。あれは翔の部屋。
「だって玄関から行くより近いんだも~ん」
「駄目だよ!怪我でもしたらどうするの!?」
「あっ、そしたら紬ちゃんと一緒に病院生活出来るねっ!」
「喜ぶところじゃないよ!」
どうしてプラスに考えちゃうのかな!?
確かに一階だし、大怪我なんてしないと思うけど…もしものことだってあるんだよ!?
幼い頃、翔の部屋は二階だった。
その時は私も二階部屋だったし、近い距離にいて話し相手になってくれたから嬉しかったけど…いつしか病院生活が多くなって、二階まで上れる体力も減って、一階に自室が出来た時。
何故か翔も一階に部屋を移した。
簡単に行き来できる距離の部屋に。
これも翔がおばさんに懇願したらしい。