悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
当然とばかりに、レオンが大きく頷いた。

「当り前じゃないか。僕がナタリアと喋っているときのあいつの目つき、めちゃくちゃ怖いんだから。あいつきっとロリコンだ。もちろん、ナタリアをやるつもりなんて死んでもないけど」

「ギルが、まさか。お兄様の気のせいではないですか? それから、ロリコンってなんですか?」

ロリコンの意味は知っているが、今の自分の立場を思い出してすかさず知らないフリをする。

やれやれ、とレオンが肩をすくめた。

「ナタリアは小さいから、あいつがお前をどんな目で見てるか分からないんだよ。それからロリコンの意味は、もう少し大きくなったら教えてあげよう」

ナタリアは考え過ぎの兄を戒めようとしたが、やめた。

ギルに嫉妬しているということは、ナタリアがレオンに愛されている証拠だ。ありがたいことである。

そこでレオンがひとつため息をつく。

「それにしても憂鬱だよ。父上が視察に行くらしいから、その間僕がいくつか父上の代わりに用事を任されているんだ。数日間忙しくなるから、その間お前があいつと過ごしていると思うと気が気じゃないよ」

「視察って、何かあったんですか?」

「野生のドラドが出たらしい。保護しようとしたけど獰猛化していて、獣操師でも手に負えないらしいよ。だけど希少種のドラドは、何としてでも保護しないといけない。だから父上が自ら様子を見に行くそうだよ」

「え――?」

レオンからの思わぬ報告に、ナタリアのテンションは一気に上がった。

獰猛化した獣、しかもドラドを生で見ることのできる大チャンスである。

「どうした? そわそわした顔をして」

「いいえ、私もお兄様と会えないのは寂しいなぁと思いまして」

獣操師になるために野生のドラドを生で見たい、とは言えない。

ナタリアが笑って誤魔化すと、「ナタリアは本当にかわいい子だね」とレオンは頬を緩めるのだった。

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