悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「獣保護区に行くのとは違う。獰猛化した野生のドラドはかなり危険だ。お前は行かない方がいい」

だが、ナタリアはここで引くつもりはなかった。

野生のドラドなどめったに現れることはない。

これは千載一遇のチャンスなのである。

(そうだ!)

そこでナタリアは、昼間レオンがギルに嫉妬していたことを思い出した。

「分かりました。では、お父様と一緒にいられない分、ギルにたくさん一緒にいてもらいます」

「――は?」

「ギルはとっても優しいのです。お父様みたいに抱っこしてくれることがあるんですよ。それからお兄様みたいに、頭を撫でてくれることもあります」

にこにこと屈託のない笑顔で、リシュタルトの嫉妬心を煽ってみる。リシュタルトの目つきがだんだんと冷たくなっていった。

「私、大きくなったらギルと――」

「――やはり、お前も連れて行こう」

ナタリアの言葉を阻むように、リシュタルトが言い放つ。

「絶対に俺のそばを離れるなよ」

「はい!」

(ギル、なかなか使えるわね。クビにされない程度に、これからも利用させてもらおっと)

無邪気な返事とは裏腹に、ナタリアは心の中でうししと笑ったのだった。
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