悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています！

小説の中のナタリアにそんな体質はなかったように思う。

犬や狼にお尻を噛まれて憤慨しているシーンならあった気がするが。

（どうしてこんな体質に生まれたのかしら……）

何となく、前世で死の間際に助けた犬のことを思い出した。

ナタリアは死んでしまったけど、あの子はどうなったのだろう？　無事だっただろうか？　

どうか、前世のナタリアの体がクッションになって生き延びてくれていますように。

「お父様。抱っこしてみてもいいですか……？」

子供といえども、相手は凶暴とも恐れられるドラド。

そうっと様子を窺うようにして、リシュタルトに聞いてみる。

リシュタルトが迷うような表情を見せたそのとき、まるで地を這うような低い唸りが辺りに鳴り響いた。

――ウォォォォンッ！