溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 起き抜けのまま乱れているシーツやタオルケット、枕。悠里がいなくても、悠里の気配がする。悠里の香りが染みついている。

 ベッドを別にしたところでまったく眠れる気がしないが……一週間の辛抱か。いや待て、それ以上かもしれない。

 俺は先ほどの会食中に、父から頼まれた仕事を思い出す。

『盆休みが明けて早々の土曜から、博多の都市開発の件で二泊三日の出張の予定があるんだ。現地調査と打ち合わせ、それから接待も入っていてな。しかし俺の足はこの通りだから、維心、お前が代わりに行ってくれないか? 向こうの担当者は、息子さんにぜひお会いしたいと言ってくれているんだ』

 現在、桐ケ谷エステートは関東を中心に事業を展開しているが、ここ数年で西日本にも事業を拡大している。

 その一環で博多に土地を購入し、地元の企業と共同で行う都市開発プロジェクトに着手しようとしているところだ。その件で、父は現地を訪れる予定だったらしい。

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