溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「もうっ。こんなに特大唐揚げって主張してるくせに、ひと口で出てこないなんて!」
「特大はおにぎりの方にかかってんのかもよ? 唐揚げはフツーサイズで、白飯いっぱい食えます的な」
「嘘、それ詐欺だよ~」
ブーブー言いながらもうひと口かぶりつくと、今度は唐揚げもちゃんと一緒に口の中に入ってきた。
生姜の効いた濃い味付けの唐揚げを、濃厚なマヨネーズの味が包み込んでいて、予想通りガッツリ系の味。
「こういうの自分ではあまり選ばないけど、美味しい」
「よかった。元気出た?」
冗談っぽい表情を消した元木くんに、静かなトーンで尋ねられる。
さっきも『しょぼくれた顔してたから』って言っていたし、私が落ち込んでいるのに気付いて心配してくれていたんだ。
「うん、おかげさまで」
にっこり笑って頷くと、元木くんはなぜか気まずそうに目を逸らし、川の方に視線を投げる。
「あのさ、早坂」
「うん?」
「やっぱ、部長となんかあったんだろ?」
悩みの原因である人物を完全に見透かされ、ついどぎまぎしてしまう。
でも、私の悩みは軽々しく他人に相談できるものではない。
元木くんのようなまっすぐな人には、なおさら。