溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「なんか早坂、しょぼくれた顔してたからさ、こんなんどうよ」
彼が取り出したのは、私の手のひらからはみ出そうな大きさの【特大唐揚マヨおにぎり】。
いかにも高カロリーそうなそのチョイスに、思わず噴き出してしまう。
「すっごいパワー出そう。そして太りそう」
「あっ。そういうこと言うヤツにはあげません」
「嘘、やだやだ、ちょうだい」
元木くんはクスクス笑って、一度袋に引っ込めようとしたおにぎりを、私の両手に乗せる。
「あと、サンドイッチと飲み物な」
続けて、ひと口サイズのミックスサンドのパックと、プラスチックカップのアイスコーヒーをふたりぶん出し、袋を敷物代わりにして置いてくれた。
元木くん自身は、大きなホットドッグの包装を開けている。
「ありがとう、いただきまーす」
おにぎりの包みを剥がし、大きな口でかぶりつく。しかし、ひと口目ではまだ唐揚げにたどりつけず、ただの白ご飯ばっかりで口の中がパンパンになる。
「ははっ。リスみてえ」
顔をくしゃっとさせておかしそうに笑う彼に反論したいが、ごはんを頬張っているせいで喋れない。
ようやく飲み込んでからコーヒーでのどを潤すと、残ったおにぎりをキッと睨んだ。