溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
元木くんは、私の言葉が本心なのか計りかねているようにしばらく黙っていたけれど、やがて諦めたように私の肩から手を離した。
「そっか……。博多、確かに遠いな」
「でしょ? 二泊三日なんだって。お土産たくさんお願いしちゃおうかな」
明るく言って、おにぎりを口に入れる。美味しい、ともう一度呟く。
元木くんはそれ以降なにも聞いてこず、嚙み千切るようにホットドッグを食べながら、川面が太陽の光を反射してきらきら揺れるのを、しかめ面で眺めていた。
維心さんは予定通り土曜日に出張に出かけた。私も仕事だったので、顔を合わせる機会は朝しかなく、つとめて普通に送り出した。
しかし、出張二日目の日曜日になると、心は次第にざわめき始めた。
維心さんと美久さんが会うのは今夜だ。
食事をするのは間違いないだろうけれど、あのメッセージの文面から察するに、食事だけでは済まないかもしれない。
維心さんが、私でない人を抱く可能性がある……。
そんな心境でひとりのマンションに帰る気にはなれず、私が会社帰りに向かった先は乙女ゲーマーの友人、佳代のアパートだった。
佳代には維心さんとの結婚について一度相談していたものの、その後は入籍の報告くらいしかしていない。
なので、今日は色々な報告ついでにお泊り会がしたいと言うと、佳代はふたつ返事で了承してくれた。