溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「佳代、この人だったら自分の旦那さんの方がカッコいい」
口を尖らせてそう言うと、佳代は盛大にため息をついて私の手からコントローラーを奪った。
「これだからリア充は。いいもん、全員私に惚れさせるから」
「すごいね佳代。トップブリーダーだ」
「ブリーダーとか言わない! この子たち、犬だけどれっきとした彼氏なんですから!」
真剣に画面を睨み、堂々と宣言する佳代がちょっとうらやましかった。
私も維心さんと、れっきとした夫婦なんですって胸を張りたい。そうなるにはやっぱり……自分の気持ちを伝えることが先決だよね。
維心さんが帰ってきたら、今度こそ逃げずに言えるかな。偽りのない、自分の気持ちを。
翌日は月曜。私も佳代も出勤なので、早起きして朝食を食べ、会社へ行く準備をした。
「今日の夜は涼しいって。久々にエアコンつけないで済みそう」
注意深くマスカラを塗りながら、鏡の中に映り込むテレビの天気予報をチラッと見る。
洗面台は佳代が使っているので、私はリビングのテーブルを借りてメイク中だ。