溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「なるほど。きみの言っていた通り、言葉というのは本能を刺激するな。自分で煽ったのだから文句を言うなよ? ……滅茶苦茶にされても」
「維心さ……んっ」

 首筋を彼の唇が這い、思い切り吸われて、キスマークを残される。

 だめ……。本心なのに、伝わらない。勇気を出した時に限って、こんな……。

 涙で視界がぼやけて、鼻の奥が熱くなる。思わずひっくと肩を震わせると、維心さんがつらそうに眉根を寄せ、耳元で呟く。

「泣かないでくれ……悠里。泣かせたいわけじゃないんだ」
「泣いて、ませ……っ」
「どうしてなんだろう。どうして俺は……」

 維心さんは、ほとんど吐息ばかりの微かな声で、「大切にしたいのに……」とうわ言のように呟く。

 相変わらず、私たちの気持ちは全然重なっていない。それでも、維心さんを理解したくて、少しでも癒やしてあげたくて。

 結局私はその夜も彼に素肌を晒し、正しく伝わらないとわかっていても、数えきれないほど、好き、と声に出して伝えた。

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